円空仏 


   まだ独身でいた30才過ぎの5月連休に、エゴの強い上司や、いびつな内省
   とその挙句の狂気への恐れや、眠るための酒や、ジャズやインドや、本に
   振り回されて、疲れ切った挙句、一人で走るだけの旅に出たことがあった。
   日本平で仮眠、浜松から飯田で泊まり、中津川、妻籠、そして高山千光寺。
   夕方の静かな寺で、独り静かに円空仏と対面し、住職と二言三言の会話。

   30数年経って、上野の円空展で、再び円空仏に出会うこととなりました。
   もはやあの頃の若さは失われ、下降気味の先が見えてきた日々を過ごす今、
   円空仏のお顔の優しさや、彫りの深さ、笑顔の素晴らしさに見惚れるのみ
   のひと時でした。 この先もまたこうした優しい気持に会えますように。
   (円空仏写真は「東京国立博物館140周年特別展 飛騨の円空」誌より転載)

三歩と散歩道
 2013年 3月
 Vol.102-sanpo2


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