野に出でよ
朝はふたゝびこゝにあり 朝はわれらと共にあり
埋れよ眠行けよ夢 隱れよさらば小夜嵐
諸羽(もろは)うちふる鷄は 咽喉(のんど)の笛を吹き鳴らし
けふの命の戰鬪(たゝかひ)の よそほひせよと叫ぶかな
野に出でよ野に出でよ 稻の穗は黄にみのりたり
草鞋とく結(ゆ)へ鎌も執れ 風に嘶く馬もやれ
(藤村詩抄 島崎藤村自選 勞働雜詠 冒頭部より)
三歩と散歩道
2013年 10月
Vol.109-sanpo1
2013年9-12月期へ
閉じる
画像をクリックして大画面へ
@:2013年 10月 8日 村田川 番場
朝露の巣
A:2013年 10月 8日 村田川 番場
スギナ
B:2013年 10月 8日 村田川 番場
アキノエノコログサ
C:2013年 10月 8日 村田川 番場
チカラシバ
D:2013年 10月 8日 村田川 番場
チカラシバ
E:2013年 10月 8日 村田川 番場
チカラシバ
F:2013年 10月 8日 村田川 番場
ブルーサルビアに ヤマトシジミ
G:2013年 10月 8日 村田川 番場
ブルーサルビアに ウラナミシジミ
H:2013年 10月 8日 村田川 番場
ブルーサルビアに ウラナミシジミ
I:2013年 10月 8日 村田川 番場
ツユクサ
J:2013年 10月 8日 村田川 番場
ツユクサ
K:2013年 10月 8日 村田川 番場
ツユクサ
L:2013年 10月 8日 村田川 番場
ミゾソバ
M:2013年 10月 8日 村田川 番場
カントウヨメナ
N:2013年 10月 8日 村田川 番場
コスモスと ヒメアカタテハ
O:2013年 10月 8日 村田川 番場
コスモスと ヒメアカタテハ
P:2013年 10月 8日 村田川 番場
アレチノウリ?に ヒメシロチョウ
Q:2013年 10月 8日 村田川 番場
オニノゲシに モンシロチョウ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
藤村詩抄 島崎藤村自選 勞働雜詠
其一 朝
朝はふたゝびこゝにあり
朝はわれらと共にあり
埋れよ眠行けよ夢
隱れよさらば小夜嵐(さよあらし)
諸羽(もろは)うちふる鶏は
咽喉(のんど)の笛を吹き鳴らし
けふの命の戦闘(たゝかひ)の
よそほひせよと叫ぶかな
野に出でよ野に出でよ
稲の穂は黄にみのりたり
草鞋(わらじ)とく結へ鎌も執れ
風に嘶(いなゝ)く馬もやれ
雲に鞭うつ空の日は
語らず言はず声なきも
人を励ます其音は
野山に谷にあふれたり
流るゝ汗と膩(あぶら)との
落つるやいづこかの野辺に
名も無き賤(しづ)のものゝふを
来りて護れ軍神(いくさがみ)
野に出でよ野に出でよ
稲の穂は黄にみのりたり
草鞋とく結へ鎌も執れ
風に嘶く馬もやれ
あゝ綾絹(あやぎぬ)につゝまれて
為すよしも無く寝(い)ぬるより
薄き襤褸(つゞれ)はまとふとも
活きて起つこそをかしけれ
匍匐(はらば)ふ虫の賤(しづ)が身に
羽翼(つばさ)を恵(めぐ)むものや何
酒か涙か歎息か
迷か夢か皆なあらず
野に出でよ野に出でよ
稲の穂は黄にみのりたり
草鞋とく結へ鎌も執れ
風に嘶く馬もやれ
さながら土に繋がるゝ
重き鎖を解きいでゝ
いとゞ暗きに住む鬼の
笞(しもと)の責をいでむ時
口には朝の息を吹き
骨には若き血を纏ひ
胸に驕慢(けうまん)手に力
霜葉を履みてとく来れ
野に出でよ野に出でよ
稲の穂は黄にみのりたり
草鞋とく結へ鎌も執れ
風に嘶く馬もやれ